コタツでまったり!【冬に読みたいおすすめ小説】カテゴリー別最強ランキングbest30

気温が下がり、外出が少し億劫になる冬。気合を入れてアウトドアを楽しむのも素敵ですが、冬の透明な空気を窓の外に感じながら、暖かい部屋で読書をするという贅沢な時間を過ごしてみるのも、また素敵です。村上春樹や吉本ばなな、江國香織といった有名作家の作品から、ミステリーや英米文学、マニアックな小説まで。読書好きの方はもちろん、普段あまり本を読まないという方にも楽しんでいただける、冬に読みたいおすすめ小説を集めてみました。

失敗しない!【冬に読みたい小説選び】のコツ

読書慣れしている方も、あまり本は読まないという方も、面白いと思って手に取った小説があまり好みでは無かったために、途中で読むのをやめてしまったという経験はありませんか?

特に最近は、本屋さんで手に取って買うよりも、インターネットを通じて本を購入する機会が多いという方も多く、口コミなどを目安に購入したのに失敗してしまい、がっかりしたという経験も。ですが、小説の好みはごく主観的なものなので、一概にあれが良いこれは良くないとは言い切れません。

せっかく冬ごもりして、小説の世界に没頭しようと思っていたのに、手に取った本が自分と合わなければ、楽しい読書の時間が台無し。

ここでは、そんな失敗を避けるために、いくつかにカテゴリーを分けて、オススメの小説を詳しくごランキング形式でご紹介していきたいと思います。

まずは自分にあった小説の選び方のポイントを3つ、ご紹介します!

まずは好きなジャンルの小説を手に取ってみよう

小説といっても、歴史小説、恋愛小説、ミステリー、SFなど様々なジャンルが存在します。まずは自分の好きなテーマを取り扱った小説を選んでみると良いでしょう。夏にはキャンプや登山を楽しむ方にはSFや冒険小説など、旅行が好きな方には行ってみたい国が舞台になっている小説など、興味のある題材を取り扱った小説を読みながら、楽しく冬の寒さを乗り切りましょう。

短編か長編かも選ぶ基準に

一冬をかけて分厚い長編小説にチャレンジするのか、短編集をいくつか制覇するのか、どちらを選ぶかは、ご自身のライフスタイルと相談してみましょう。1日の中で、例えば通勤時間が長い場合や、夜わりと遅くまで読書する習慣がある場合などは、短編では少々物足りなく感じるかもしれません。しかし平日はあまり本を読む時間が取れず、休日にまとめてゆっくり読みたい方などは、短編でテンポの良い小説の方がより満足した時間を過ごせるのではないでしょうか?

作家の性別なども参考に

小説には、その小説を書いた作家独特の考え方や言い回しがあり、当然ですが読者はそれに対して「合う」「合わない」といった感想を持ちます。小説の内容がどんなに良くできていても、そこが合わなければ「面白くなかった」と思ってしまうかもしれません。

同じ題材であっても、作家が男性か女性かで全く違う物語が生まれるでしょう。男性作家の描く女性像に、女性の読者が共感できなかったり、逆に心酔してしまったりと、感じ方は様々。ですが、それぞれに合った世界観を探るのに、作家が男性か女性かということは大きな目安になります。

冬に読みたい小説おすすめランキングをご紹介!

長い冬を利用して、「大好きな読書に没頭しよう!」という読書好きの方にも、「外は寒いからたまには本を読んでみよう」という初心者の方にもご満足いただける、ジャンル別【冬に読みたいおすすめ小説】ベスト5   をご紹介していきます。

恋愛小説、歴史小説、ミステリー、SF・ファンタジー、海外文学にカテゴリーを分けて、それぞれのおすすめを詳しくご紹介します!

【恋愛小説編】

冬の冷たい風に、少し人恋しくなる夜。今、恋をしているという方にも、かつての恋をふと思い出してしまう、という方にもおすすめできる、冬の空気のように透明感のある恋愛小説を、集めてみました。

【第5位】ボクたちはみんな大人になれなかった

著者  燃え殻
出版社  新潮社
発売日    2017/  6/30
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆

舞台は90年代の東京。17年後のボクがフェイスブックの中に別れた彼女を見つけて「友達申請」するところから物語は始まります。何も持っていなくてボロボロだったはずのあの頃が、なぜかキラキラ輝いて見える

そんな季節に付き合っていた最愛の恋人を、当時の空気ごと回想していく私小説。90年代後半から2000年代前半に青春を過ごした方が読むと、細かいディティールが自分の思い出に染み入ってくるような感覚に、忘れていた色々なこと思い出して少し切なくったり。

男性作家の書いた男性目線の恋愛小説なので、女性の中には多少身勝手さを感じる方もいるかもしれません。また物語もさることながら、あの頃の空気感が秀逸な小説なので、時代背景に興味が持てない方は感情移入し辛いと感じるかもしれません。

【第4位】風立ちぬ

著者  堀辰雄
出版社  新潮社
発売日    1952/  1/29
わかりやすさ   ☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

宮崎駿の映画「風立ちぬ」の原作となった作品と、「美しい村」というバッハのフーガから着想を得た音楽のような作品が収められた本書。どちらも作家堀辰雄の中期を代表する傑作です。

「風立ちぬ」は、主人公の婚約者である節子が結核サナトリウムで長期療養するために、主人公もそこで暮らす決意をし、彼女の死を看取り、それを受け入れて乗り越えていく物語。全編通して言葉の美しさが秀逸で、読み進めると切なくて胸が苦しくなってきます。堀辰雄が実際に愛した女性がモチーフになっており、実体験のような描写も垣間見られます。

「美しい村」は軽井沢の自然を背景に、次第に傷ついた心を癒していく青年の物語です。どちらも絵画のような素晴らしい情景描写で、読んでいると目の前に美しい軽井沢の景色が広がってくるような作品です。

 

【第3位】ナラタージュ

著者  島本理生
出版社  角川書店
発売日    2008/  2/1
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

昨年映画化されたことで注目されましたが、小説自体はおよそ10年前に出版されたものです。ナラタージュとは、映画の中などで、語りや回想によって過去を再現する手法のこと。

タイトル通り主人公が自分の過去を振り返りながら物語が進んでいきます。全体的に、風のない冬の海辺のようなシンとした空気感と、それとは裏腹に、どうしようもなく恋に落ちてしまう主人公という世界観が、教師と生徒の恋愛という少しタブーなテーマを美しく映しています。淡々とした静かな夜のような物語なので、派手な物語が好きな方は読み辛いと思うことも。

  

【第2位】とおくはなれてそばにいて

著者  村上龍
出版社  ベストセラーズ
発売日      2003/12/1
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

2003年に発売された、村上龍の恋愛短編集です。村上龍らしく、大人の「愛してる」という言葉だけでは括れない恋愛が、これでもかというほど生々しく詰まっています。きれい事では済まない大人の恋愛。セックスやバイオレンスの描写が多いのにも関わらず、トータル的な印象はなぜかとても美しくロマンティックで、しんみりとした悲しさが漂います。色のない冬の景色に良く馴染むような物語です。しかしながら、激しい描写や性描写が苦手な方などには、好き嫌いがはっきり分かれる一冊です。

【第1位】阪急電車

著者  有川浩
出版社  幻冬社
発売日      2008/1/1
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

片道15分の関西のローカル電車内で繰り広げられる小さな奇跡の数々。偶然そこに乗り合わせた人々の人生が少しずつ交わり、やがて物語に希望の光が差し込みます。

一話読み切りの短編のようで読みやすいのですが、全ての話が上手く交差して繋がっています。恋の始まり、別れの兆し、途中下車、阪急電車の8駅を往復する16話の奇跡の物語。読後爽やかさが漂い、幸せな気分になれる名作です。

【歴史小説編】

歴史的に有名な人物が主人公であったり、歴史的事件や出来事を題材に描かれる歴史小説。物語としての面白さもさることながら、実際にいた人物や出来事を背景にしているために、ノンフィクション的な面白さも味わえます。

時代背景や、その時代に息づく様々な事情や人間模様が垣間見られる歴史小説には、現代に生きながら時代を超えて物語に入り込み、遠い過去に思いを馳せ想像を掻き立てるような、スケールの大きさがあります。長い長い冬の間、ゆっくりとじっくりと向き合いたい良質な歴史小説を集めてみました。

【第5位】蒲生氏卿

著者   高田郁
出版社  集英社
発売日      2000/12/1
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

のちに「近江商人育ての親」といわれた蒲生氏郷(がもううじさと)の波乱に満ちた生涯を辿りながら、近江商人について詳しく描かれた作品。近江商人とは、三方よし(売り手、買い手、世間)という商い理念のもと、現代にも学ぶべきところの多い哲学を持っており、作中では二人の近江商人の人生と蒲生氏郷の人生とを同時に追って行きます。素晴らしい先見の明があった蒲生氏郷と近江商人。学ぶべきところの多い作品です。

【第4位】鬼平犯科帳

著者  池波正太郎
出版社  文春文庫
発売日      2016/12/31
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

言わずと知れた名作、池波正太郎の「鬼平犯科帳」の第1巻。

盗賊からは“鬼の平蔵”と呼ばれている火付盗賊改方の長谷川平蔵ですが、素顔は実に懐の深い男気に溢れた人物。毎話鬼平の見事な裁きと人情味溢れるエピソードに、深い感動を覚えます。また、鬼平の使う密偵たちそれぞれの事情や、鬼平に対する忠誠心に何度も泣かされてしまいます。

そして、もう一つの楽しみといえば、鬼平の好む江戸の料理。料理の描写がとても美味しそうで、読んでいるとお腹がすいてくるという一面も。歴史小説として外せない一冊です。面白くて次から次へとページをめくりたくなりますが、全24巻ととても長いので、一冬かけて制覇する覚悟が必要。手に取る際はご注意を。

【第3位】時雨のあと

著者  藤沢周平
出版社  新潮社
発売日      1982/6/25
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

短編7話が収められた「時雨のあと」。藤沢周平らしい爽やかな余韻が残る、まさに時雨のあとのような気持ちの良い作品。江戸時代の下級武士や庶民の日常を視点において、人間のずるさや弱さを、隠すのではなく暖かい目で描く。優しさと人情を感じる、美しい風格のある文章。どの短編も素晴らしいプロの作品です。一話一話が短くすぐに読み終わってしまうので、藤沢周平入門編として作家を感じるきっかけにしてはいかがでしょうか?

【第2位】上杉鷹山

著者  上杉鷹山
出版社  集英社
発売日      1996/12/1
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

人を思いやる純粋さと、有言実行し人の上に立つ力を併せ持つ上杉鷹山。若くして潰れそうな米沢藩を目の当たりにし、「義」と「愛」の精神で素晴らしい政治を行い、米沢を理想郷と言われるまでに立て直した。「皆を幸せにする」という理念を常に念頭に置いて改革を進めていく鷹山の姿は、およそ200年前の話でありながら、現代人にも学ぶべきところがたくさんあります。真のリーダーとは何か。その答えを、本書で見つけることができるかもしれません。

【第1位】竜馬がゆく

著者  司馬遼太郎
出版社  文春文庫
発売日      1998/9/10
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆☆

全8巻に渡って、幕末の英雄・坂本龍馬の一生を描く「竜馬がゆく」。歴史小説を読むにあたり、誰もが一度は手に取りたい作品です。坂本龍馬の魅力、時代背景の説明のわかりやすさ、それに基づく物語の展開、どれを取っても素晴らしく、司馬遼太郎の偉大さが感じられます。幕末、世の中が大きく変わろうとしている時代。江戸が終わり、現代の日本への変革に大きく関わった竜馬。臨場感があり、痛快で読みやすく、また、読み応えもあり。読むと元気になれる一冊です。

【ミステリー編】

シンと、世界から音が消えるような雪の夜に、暖炉やろうそくの炎が揺れる中で本を読むなら、断然ミステリーがおすすめ。ドキドキゾクゾクする展開や、最後に仕掛けられた大どんでん返し。冬の深い夜なら、より一層本の世界に没頭できるでしょう。

【第5位】マスカーレード・ホテル

著者  東野圭吾
出版社  集英社
発売日      2014/7/18
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

東京都内で起きた不可解な連続殺人事件。何もかも謎のまま、唯一残された暗号から次の犯行現場だけが判明した。一流ホテルに潜入捜査に入った若い刑事新田浩介と教育係のフロントクラーク山岸直美の前に、次々現れる怪しげな客たち。東野圭吾の大人気シリーズの第一弾「マスカーレード・ホテル」では、推理と人間模様にどんどん引き込まれていきます。刑事と客の痛快な掛け合いや、刑事と教育係の関係性など、ミステリーの謎解きはもちろんその背景のストーリーもとてもよく描かれています。本格的なミステリーをお求めの方には少し物足りないかもしれませんが、また違った東野圭吾を堪能できる良作だといえます。

 【第4位】アヒルと鴨のコインロッカー

著者  伊坂幸太郎
出版社  東京創元社
発売日      2006/12/21
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

東京から東北の大学に進学した主人公が、そこで知り合った青年と広辞苑を奪うために本屋に強盗に入る。現在と過去が交互に展開し、それがいずれ重なり一つの物語になる。本当のことがわかっと時に、切ない衝撃が走ります。

伊坂幸太郎ワールド全開の独特な世界観と、感傷的でもの悲しいセンチメンタルな空気が漂い、物語の中にボブ・ディランの音が聞こえる。ミステリーであり文学でもある本作は、葉の落ちた森のようにしんみりとした気持ちで、温かいコーヒーと共に楽しみたい一作です。本格ミステリーとは一線を画す本作なので、その点にはご注意を。

 【第3位】十角館の殺人

著者  絢辻行人
出版社  講談社
発売日      2007/10/16
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

孤島にある十角形の奇妙な館を訪れた大学のミステリー研究会の7人。やがて彼らを次々と襲う連続殺人事件。これぞミステリーといわんばかりに至るところに散りばめられた付箋と、それを回収しながら説かれていく謎。最後まで真犯人が誰なのか全くわからないストーリー展開、クライマックスで明かされる驚愕の真実。時間を忘れて没頭できる王道のミステーリー小説です。登場人物の軽快さがこの本の良さでもありますが、それに馴染めない方がいるかもしれません。

【第2位】血か死か無か?

著者  森博嗣
出版社  講談社
発売日      2018/2/20
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

森博嗣のSF・Wシリーズ8作目の本作品。前作の100年シリーズと繋がっていくストリー展開になっており、森博嗣ファンには絶対に外せない一作になっています。「人を殺した最高の人工知能」と呼ばれる軍事用AI,イマン。そのイマンの解析に協力するためにハギリ博士はエジプトに赴きます。イマンのボディには「血か、死か、無か」という文字が。様々な出来事が複雑にリンクして進むストーリーは、工学博士でもある作者の造形の深さが堪能でき、次から次へと繋がっていくストーリー展開に鳥肌が立つほど。ぜひ、全シリーズ合わせて読みたい作品です。

 

【第1位】幻獣遁走曲

著者  倉知淳
出版社  東京創元社
発売日      2004/4/9
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆☆

ミステーリーの世界ではコアなファンが多い倉知淳の短編が5つ収録された一冊。ほのぼのとしたミステリーで、素直に読み進めることができる、大変読みやすい作品です。日常に起こりうるちょっとした謎を解き明かしていく猫丸先輩が主人公。巻末の解説も秀逸です。倉地淳のミステリー入門編として、ぜひ手に取っておきたい一冊。

【SF・ファンタジー編】

【第5位】なつのひかり

著者  なつのひかり
出版社  集英社
発売日      1995/5/20
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

タイトルが「なつのひかり」ですから、全編を通して、夏の白くて少し途方にくれてしまう、陽炎のある景色のような気だるさが充満しています。冬、このまま永遠に寒い季節がつづくのではないかと思ってしまうほど長い夜に、この物語でシュールな夏のひかりと温度を、そして不思議な世界を感じてください。

現実とファンタジーが境目なく存在しているので、読み始めは奇妙な混乱を感じるかもしれません。江國香織らしい淡々とした文章で進む不思議な物語、分かり易さを求める方には不向きお話です。

【第4位】向日葵の咲かない夏

著者  道尾秀介
出版社  新潮社
発売日      2008/7/29
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

夏のファンタジーをもう一冊。こちらはファンタジーといっても、いわゆるそれとは少々趣がちがいます。サスペンスでもあり、ミステリーでもあるという、不思議と恐怖と不気味さが一体となった、少し重い本書。

夏休みを迎える終業式の日、主人公が先生に頼まれて、欠席したクラスメートの家を訪ねるところから物語が始まります。冒頭から次々と不可解なことが起こり、ついついページをめくってしまう。小学生の自殺や動物虐待など、少々へヴィーなエピソードもあり、全体的に重苦しくねっとりとした印象で、賛否の分かれる作品となっていますが、トリックや人間模様など、書き手の筆力も感じられる、読めば記憶に残る一冊です。

【第3位】また同じ夢を見ていた

著者  住野よる
出版社  双葉社
発売日      2016/2/17
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆

小学生の「奈ノ花」が国語の授業で「幸せとは何か」という課題に向き合い、その答えを見つけるために「南さん」「アバズレさん」「おばあちゃん」の三人の女性に会いに行きます。そこで奈ノ花は、両親のこと、学校のこと、友達のこと、自分が投げやりになっている全ての事に対して、それぞれ一つずつヒントをもらって行きます。

人は、いろいろなことを後悔したり、やり直したいと思ったりしながら生きていて、わかっていても素直になれなかったり、言わなくてもいいことを言ってしまって後々まで引きずったり。小学生の奈の花の目線で語られる文章はとても読みやすく、「幸せとは何か」を考えながら、優しい気持ちになれる物語です。

軽妙で読み進めやすく、活字が苦手な方やこれから読書をと考えている方が最初に手に取るのにとてもいい本ですが、逆に純文学や読み応えのある長編小説をお好みの方は、読後物足りなさが残るかもしれません。

【第2位】花のベットでひるねして

著者  よしもとばなな
出版社  幻冬舎文庫
発売日      2013/11/27
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

孤児の主人公が、不思議な村で風変わりな家族と暮らしている。主人公「幹」は、どんな些細なことにも幸せを感じながら生きています。そんな日常の中で「欲しいものがいつに間にか手元にやってくる」祖父や、家族が次々に見る不思議な夢、ゾッとするような奇妙な出来事が印象的に登場し、始終ふわりとした感動が続きます。ホラーじみたエピソードも登場しますが、全編を通して優しくて哲学的なセリフと、温かい空気に包まれた物語です。

今、少々生き辛いなと思っている方にぜひおすすめしたい本書。スピリチュアルな雰囲気が色濃いので苦手という方もいるでしょう。

【第1位】薬指の標本

著者  小川洋子
出版社  新潮社
発売日      1997/12/24
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆☆

表題の「薬指の標本」と「六角形の小部屋」の2作品が収められた本書。どちらも日現実的な物語です。人々の思い出を標本にする「標本室」で助手として働く主人公。ひんやりと冷たくて、少しゾクッとする恋愛模様。ラブストーリーというのには憚られる、シンとした中で知らずに進む、男と女の物語です。

もう一作は「カタリコベヤ」という人が独り言を言うための奇妙な小部屋とそこに通う人々の物語。どちらも小川洋子独特の世界観であり、少し怖い物語です。生々しいのに、温度を感じず冷たい。淡々と進む物語の中に感じる恐怖。不思議な一冊です。

【海外文学編】

名前は知っていても、なかなか手に取りづらい海外文学。冬のゆったりとした時間だからこそ、じっくり深く読み込むことができる、そんな傑作を集めてみました。どの作品も古典で、多少のとっつきにくさはありますが、読後必ず心に大きな贈り物を残してくれるでしょう。

【第5位】星をつぐもの

著者  ジェイムス・P・ホーガン
出版社  東京創元社
発売日      1980/5/23
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

1977年に描かれたSFの名作。科学者たちの会話で物語が進んでいく為、専門用語が多く序盤で少しつまずくかもしれませんが、それを乗り越えると次第に物語にグイグイ引き込まれていきます。

月で人間の死体を発見するところから始まるミステリー。S Fでありながら推理小説のような面白さも十分味わえます。情景描写が巧みで、目をつむれば自分も宇宙にいるような情景が広がります。40年前に描かれたとは思えない説得力と臨場感で、最後まで大きな感動を与えてくれます。悪人も戦いもなく、子供から大人まで楽しめる一作です。

【第4位】夜間飛行

著者  サン=テグジュペリ
出版社  新潮社
発売日      1956/2/22
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

今ほど飛行機に乗ることが安全ではなかった時代、危険な夜間飛行の任務を遂行する飛行士と、それを取り巻く人々の、気高く勇敢な物語。「星の王子さま」で有名な作者ですが、自身が名操縦士と言われるだけに、見事なまでに飛行機乗りの世界を描いています。不屈の精神で、使命感を強く持ち、困難な状況を乗り越えていく。危険だとわかっていながらも命をかける彼らを、詩的な情景描写で美しく描きます。

年代を経た名作なので、読み取りづらい言い回しなどもありますが、一つ一つ噛み砕きながらゆっくりと読み進めたい作品です。

【第3位】大聖堂

著者  レイモンド・カーヴァー
出版社  中央公論新社
発売日      2007/3/1
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆

カーヴァー最高の短編集と言われる本作を、村上春樹の素晴らしい翻訳で訳した一冊。「ぼくが電話をかけている場所」「ささやかだけれど、役にたつこと」など、粒ぞろいの名編が収録されています。

表題の「大聖堂」では、妻と文通していた盲目の男と仲良くなって、彼に大聖堂を説明しようと四苦八苦する主人公の会話を通し、他者への理解というテーマを見事に表現しています。長すぎず短すぎす、ストーリーも新鮮で、とても優れた短編集です。また。カーヴァーの艶のある若草のような文章が、春を待ちわびる冬の景色に色を与えてくれる、そんな一冊です。

【第2位】赤と黒

著者  スタンダール
出版社  新潮社
発売日      1957/2/27
わかりやすさ   ☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆☆

英雄ナポレオンに憧れる若きジュリアン・ソレルの短い生涯の物語。ひょんなことから身分の高い主人の家で家庭教師をすることになり、その家の夫人と不倫関係に陥ってしまう。鋭い心理描写で描く深く美しい恋愛小説です。

知性があり美しい美貌も兼ね備えたジュリアンは、上流階級へのし上がるために女性を誘惑しますが、いずれも本気で愛してしまうのです。強い上昇志向と屈折した内面を持ったジュリアンが、人間的にとても魅力であり、心理描写が実に巧妙で密度濃く描かれている。情熱的な目線と客観的に観察した視点が見事に調和し、物語に深みを出しています。

【第1位】八月の光

著者  フォークナー
出版社  新潮社
発売日      1967/9/1
わかりやすさ   ☆☆☆☆
読みやすさ ☆☆☆☆☆
テンポのよさ ☆☆☆☆☆

アメリカ南部における人種差別、宗教的問題。アメリカの暗黒部分を浮き彫りにした重いストーリー。臨月の若い女「リーナ」が、自分を置き去りにした男を探す物語と、混血の男のクリスマスの物語が混在し、登場人物一人一人のバックグランドを紐解きながらストーリーが進む。日本人にはなかなか馴染みのないアメリカのローカルな話ですが、このような現実があるというとこを知るのに適切な一冊。

重苦しく絶望したまま物語が終わっていくのかと思いきや、最後は少し希望の光が差し、幸せを予感させてくれます。途中、情け容赦のない展開に少ししんどくなる事もありますが、最後まで読めば救われたような気持ちにさせてくれます。その後の世界中の文学に影響を与え続ける傑作、ぜひこの冬手にとってお読みください。

【まとめ】

冬に読みたいオススメ小説】いかがでしたか?寒い寒い冬、澄んだ空気が爽やかな早朝にも、休日の日中、温かいカフェの窓辺や、しんと沈んだ1日の終わりにも。冬には読書がすすむ素敵な時間がたっぷり!

(もしもamazonで本を購入する際は、キンドル電子書籍リーダーという選択肢も。現在では入手困難な本も書籍化されていたり、わからない感じや意味をすぐ調べられたりと、便利な機能が読書をより楽しくしてくれます。)

読書が苦手という方も、この冬の間、ぜひ手に取ってページをめくってみてください。そこには今まで見たことのない景色や、感じたことのない色、嗅いだことのない香りが立ち込めているはずです。自宅にこもりがちな冬を利用して、ぜひ読書の楽しさに触れてみてください!きっと世界が変わりますよ!