“ちょい知的”がおしゃれのかなめ!アイビーファッションとおすすめの着こなし術

おしゃれに関心のある方なら誰でも、「アイビーファッション」という言葉を耳にしたことがあるはずです。アメリカを源流とするトラッドなメンズ服スタイルの一つで、かつて一世を風靡したことで知られています。

優等生的なファッションというイメージがあることから、着こなしの難易度が高いと思われがちですが、ほどよく着くずすことで、洗練されたイマドキなスタイルを作ることができるのが特徴です。いつものコーディネートに上手に取り入れて、大人ならではの清潔感たっぷりのおしゃれを楽しんでみませんか?アイビーファッションの特徴やおすすめの着こなしまで、詳しくご紹介します。

そもそもアイビーファッションとは?

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アイビーファッションを取り上げた雑誌やネット上に掲載されている海外スナップをそのまま真似しても、どこか違和感が出てしまうもの。アイビーファッションを粋に着こなすには、スタイルについて正しく理解しておくことが大切です。そこで、アイビーファッションの意味や日本での受容の歴史について解説します。

アイビーの名前の由来と定義

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アイビーの名は、アメリカ東海岸にある名門私立大学8校からなるグループ、「アイビー・リーグ」に由来しています。いずれの大学の校舎にも、ツタ(アイビー)が生い茂っていたことから、その名で呼ばれるようになりました。これらの大学の学生たちの間で人気があったファッションこそが、アイビーファッションです。

1960年代に爆発的に流行し、それ以来トラディショナルなメンズ向けファッションスタイルとして定着しています。具体的なアイテムとしては、3つボタンジャケット、ボタンダウンシャツ、コットンチノパンツ、ポロシャツ、コインローファーなどが挙げられます。それらを組み合わせ、エリート学生らしく上品できちんとした印象の優等生的なスタイルに仕上げるのがアイビーファッションの特徴です。

プレッピースタイルとの相違点

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アイビーファッションとよく比較されるのが「プレッピー」と呼ばれるスタイルです。プレッピーとはアイビーリーグなど一流大学のに入学するための「プレパラトリー・スクール」、いわゆる予備校に通う学生のこと。アイビーファッションが伝統的なスタイルを強く意識しているのに対して、プレッピーはよりフレッシュな印象があります。スタイルを構成するアイテムはアイビーファッションとほぼ同様ながら、1980年代に流行したということもあり、時代を反映し、より色使いが華やかでゆったりとしたシルエットが特徴として挙げられます。アイビーファッションに比べて、より若々しくスポーティーと言い換えてもいいでしょう。アイビーではあまり見られないホワイトデニムを取り入れるのも特徴です。

日本におけるアイビーファッション

日本でもアイビーファッションは1960年代に流行し、その火付け役とも言えるのがミュージシャン達でした。国内の有名私立大学の出身であった加山雄三氏や、当時の音楽界を席巻していたヴィレッジ・シンガースやザ・フィンガーズなど一部のグループサウンズのメンバーたちはアイビーファッションを身にまとい、ステージに立っていたのです。コットンパンツにポロシャツを合わせたり、ボタンダウンシャツにカーディガンを重ねたり、爽やかで清潔感のあるスタイルは全国の若者に影響を与えました。

VANの台頭と「みゆき族」

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国内のアイビーファッションの流行は「株式会社ヴァンヂャケット」の存在を抜きにしては語ることができません。1960年代に急成長を遂げたアパレル企業で、「VAN」ブランドによってアイビーファッションを大々的に取り上げ、多くの若者の憧れの的となりました。東京・青山通りにあったヴァンヂャケット本社の周辺は、「ヴァンタウン」とも呼ばれ、後に多くのデザイナーが進出。現在のようなファッションの中心地となるに至っています。

VANを有名にしたのが、「みゆき族」と呼ばれる、1964年ごろから銀座のみゆき通りに集まったヒップな若者たちでした。彼らの間では、VANのロゴの入った紙袋を脇に抱えることがステイタスとされていたのです。みゆき族はただ周辺をぶらぶらしているだけで、反社会的な行動をしていなかったにもかかわらず、地元の住民や商店街主らはこれを問題視。取り締まりが実施されるほどの社会問題に発展しました。

みゆき族のアイビーファッションの特徴は、アメリカの学生のような上品できちんとした印象とは異なり、ラフに着くずしていたこと。ストリートから発した独自のファッション文化を形成していました。トラッドなアイテムを使いつつも、優等生的ではない、抜け感たっぷりに着こなすスタイルは、現代においてアイビーファッションを取り入れる際にも大いに参考になると言えるでしょう。

アイビーファッションを構成する定番アイテム

アイビーファッションをうまく着こなすには、スタイルの象徴となるようなアイテムをうまく取り入れることが鍵となります。アイビーファッションを構成するアイテムのうち、代表的なものを取り上げてご紹介します。

段返りの3ボタンジャケット

アイビーファッションにおいて最も重要なアイテムが段返りの3ボタンジャケットです。「段返り」とは、ラペルの折り返しが、一番上のボタンとボタンホールにかかっているジャケットのこと。イタリアのデザインに多い仕様で、このタイプのジャケットは、一番上のボタンを閉めない決まりになっています。そうすることで、ラペルがきれいに折り返され、本来意図された着こなしが楽しめるのです。これを知っているかどうかで、粋なアイビースタイルかどうかが一目でわかります。また、ジャケットの中でも、ネイビーブルーのブレザーに金ボタンをあしらったものはとくに「紺ブレ」と呼ばれ、アイビーファッションのアイコンとして語られます。

ボタンダウンシャツ

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ボタンダウンシャツは、襟の先にボタンが付いているシャツのこと。ポロ競技をする際に、風で襟がめくれて競技の邪魔になるのを防ぐ目的で考案されたと言われています。そのため、ブランドによってはポロカラーシャツと呼ぶ場合もあります。ドレスシャツに比べてカジュアルかつスポーティな印象が特徴ですが、襟が常に定位置に収まっているためだらしなさがなく、ノージャケット、ノータイでも様になるのが特徴です。きちんとした印象があるため、現代ではビジネスシーンでも見られるようになってきました。アイビーリーグの学生が好んで着用したことから、アイビーファッションの象徴とされるようになりました。さまざまな素材がありますが、アイビーファッションでボタンダウンシャツというときは、オックスフォードであることが多いようです。無地のほか、ストライプシャツやチェックシャツも定番です。タイを締めることもあるので、サイズはネックラインを目安にしてください。

チノパン

チノパンとは、パンツの一種で、チノクロスという生地を使うことからそう呼ばれます。丈夫であることから、1800年代の中頃から軍隊で使われ始めました。そのため、ベージュやカーキなど、いわゆるアースカラーが一般的です。現代ではネイビーなどダークカラー系のものも多く見られるようになってきました。シルエットは細身のもの、ゆったりしたもの、さまざまなタイプのものが出回っています。トップスを選ばない万能アイテムと言えるでしょう。

ポロシャツ

ポロシャツとは、言わずと知れた襟の付いた半袖のニットトップスのこと。フロントを2、3個のボタンで開け閉めする仕様が一般的で、いわゆるかぶりで着るタイプのスポーティーなアイテムです。その名の通り、ポロ競技によく着用されますが、世界的に流行したのは、多くのテニスプレーヤーが着用したことによると言われています。アイビーファッションでは一枚で着る以外に、ジャケットのインナーなどにも使われます。日本では半袖のイメージが強いですが、海外では長袖のものもよく出回っています。

チルデンニット

チルデンニットとは、Vネックの厚手セーターで、ネックラインと裾に太いラインの装飾が入っているもののこと。ラインの装飾は1本の場合と2本の場合とがあります。アメリカのテニスプレーヤー、ウィリアム・チルデンが愛用したことからその名で呼ばれるようになりました。爽やかな印象を与える反面、場合によっては子供っぽく見えてしまうため注意が必要なアイテムでもあります。上手に着こなせば清潔感のある上品なスタイルが楽しめます。

ショートパンツ

ショートパンツもアイビーファッションに欠かせないアイテムです。かつてのアイビーファッションでもさまざまな素材のショートパンツが見られました。着こなし方次第では、ショートパンツを取り入れるだけでアイビーっぽいスタイルが完成します。

コインローファー

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シューズもまたアイビーファッションのかなめ。ドレスシューズが不似合いなアイビーファッションの足元を飾る重要なアイテムがコインローファーです。国内ではすっかりおなじみのレザーシューズですが、アイビーリーガーたちの間では、ローファーのスリットに1セント硬貨(ペニー)を挟み込むのが流行していました。そのため、コインローファーともペニーローファーとも呼ばれます。レザーの素材感がコーデに高級感をプラス。しかも、足元に存在感が加わることでコーデ全体のバランスも格段によくなります。

アイビーファッションを代表する国内外のブランド

アイビーファッションは特定のブランドとともに成長してきました。アイビーファッションと関連の深い国内外のブランドの一部をご紹介しましょう。

ブルックスブラザーズ

アイビーファッションの王道を行くブランドと言えるのがアメリカのブルックスブラザーズ。1818年に創業したアメリカで最も歴史のある衣料専門店です。現在でもアメリカントラッドの代表的な存在と見なされており、歴代の大統領に愛用者が多いことで知られます。上で取り上げたボタンダウンシャツはブルックスブラザーズが考案したものです。クラシカルなスーツスタイルを得意としますが、カジュアルアイテムも豊富。

ラルフローレン

ラルフローレンもまたブルックスブラザーズと並んでアメリカントラッドの旗手と位置付けられます。1967年にネクタイ店として開業したのが始まり。日本ではポロシャツがとくに有名ですが、トラッドなアイテムも数多くラインナップしています。さまざまなレーベルをもち、ビジネススタイルからスポーツウエアまで幅広くラインナップします。

J.Press

日本ではブルックスブラザーズやラルフローレンより知名度が劣るものの、やはりアメリカントラッドを代表するブランドの一つです。創業は1902年。段返りの3ボタンジャケットなどアイビーファッションを意識したアイテムを現在でも多くラインナップしています。

JUN

1958年に創業した株式会社ジュンによるアパレルブランド。VANとともに国内のアイビーファッションを牽引しました。VANをライバル視し、配色や柄でVANとの差異化を図るアイテムを展開。現在はアイビーファッションではなく、一般的なファッションブランドとして広く認識されています。

REGAL

1870年創業の国内のレザーシューズメーカーの老舗。1961年から「REGAL」ブランドを使い始め、VANとコラボした「VAN REGAL」を大ヒットさせました。馬の鞍(サドル)のような形をした別革を被せたボリューム感のあるレザーシューズ「サドルシューズ」の名品を産んだことでも知られます。

“ダサいアイビーファッション”を回避するには?

今もアメリカントラッドスタイルとして人気のあるアイビーファッションですが、かつてのままコピーするのはおすすめできません。アイビーファッションをおしゃれに着こなすポイントについてまとめました。

まんまアイビーファッションは時代遅れな印象に

ファッションの流行は周期的だと言われますが、かつてのスタイルがそのまま戻ってくるわけではありません。アイビーファッションも同様で、現代風に着こなすにはコツが必要です。また、骨格も体型も異なるアメリカ人と同じような着こなしも私たち日本人には似合いません。全身アイビーファッションで固めるのではなく、部分的に取り入れたり、かつてみゆき族の若者がしていたように、ほどよく着くずしたりすることが大切です。

おしゃれのかなめ、ボトムはやや短めがトレンド

例えば、コーディネートのかなめとなるボトムはやや短めにカットするのがおすすめ。スーツのパンツなどは少しクッションを作るのが基本ですが、くるぶしが丸ごと出るくらいが理想的です。裾が長すぎると重たく、野暮ったい印象になってしまうため、アイビーファッションを今っぽく着こなす上での重要ポイントと心得てください。また、裾はダブルが原則です。折り返し幅は5cmを目安にするとよいでしょう。シルエットは適度な細身が現代風。スキニーでもなく、ゆったりでもない、緩めにテーパードしたストレートのものを選ぶようにしましょう。

ローファーは素足が鉄則

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かつてのアイビーリーガーはローファーに靴下を合わせるスタイルも楽しんでいましたが、現代の日本ではこれはご法度。ボトムの裾を短くカットすることと関係しますが、アイビーファッションをおしゃれに着こなすには、足もとを軽やかにすることがポイントとなります。ローファーを取り入れる場合は、必ずインビジブルソックスを用意してください。

きれいめアイテムほど抜け感を意識する

アイビーファッションでもう一つ気をつけたいのは、上品にまとまりすぎないこと。例えば、シャツやポロシャツにジャケットを重ねる場合、できれば軽く腕まくりするなど抜け感をプラスするとこなれた印象に見えます。そのためジャケットを選ぶ際は、袖口のボタンを外せるもの、それが無理な場合は数回ロールアップしても窮屈でないものを選ぶのがおすすめです。

また、ジャケットスタイルを抜け感たっぷりに楽しむには、ショートパンツを合わせるのもいいでしょう。トラッド色の強いきれい目のアイテムを取り入れる時は、ドレスダウンするポイントをつくって、上品にまとまりすぎないことを意識するとうまくはずです。

“ちょい知的”でアイビーファッションおすすめの着こなし術

有名私立大学に通う学生たちの装いだけに、アイビーファッションでは知的な要素が必要です。ただし、上品にまとまりすぎてはいけないと指摘した通り、ちょっとやんちゃなイメージや抜け感を意識することで“ちょい知的”を目指すのが正解。シーズンごとにおすすめの着こなしをご紹介します。

おすすめアイビーファッションの着こなし術:春編

春は全身で軽やかさを印象づけたいところ。例えば、爽やかなブルーや白シャツにセンタープレスの入ったチノパンや軽やかなウールのグレースラックスを合わせ、カジュアルな印象のニットタイをオン。もちろんシャツの袖は軽く腕まくりして、ボトムの裾は短めにするのがポイントです。足元はローファーかローテクスニーカーがいいでしょう。いずれにしても、靴下はインビジブルなタイプのものを。

おすすめアイビーファッションの着こなし術:夏編

暑い夏はつい半袖に手が出てしまいますが、あえて長袖で差をつけてみては?例えば、白いポロシャツにジャケットを重ね、足元には細身のショートパンツを合わせて。ジャケットはシアサッカー素材など軽やかな質感のものであれば暑苦しい印象になりません。足元はやはりローファーが無難。トレンドのタッセルローファーを合わせればさらにおしゃれに。

おすすめアイビーファッションの着こなし術:秋編

秋には大人っぽいスタイルが似合います。ボタンダウンのシャツに細身のチノパンを合わせてハリントンジャケットをオン。ジャケットはベージュなどが定番ですが、ネイビーやブラックなどダークカラーを選ぶとカジュアルさがほどよく中和されておすすめ。よりドレスよりのスタイルにするなら、白シャツにタイを合わせるのもいいですね。インナーにモノトーンのニットベストを重ねたり、裏地のチェック柄をあえて見せる着こなしもおしゃれです。ボトムはスラックスもいいですが、清潔感のある濃いインディゴのジーンズなどカジュアルなパンツとも相性良好です。

おすすめアイビーファッションの着こなし術:冬編

冬服の主役は何と言ってもアウターです。トレンチコートやチェスターコートなど、トラッドの定番コートもいいですが、おすすめはウールなどケーブル編み風のタートルネックニットに厚手ツイードのグレージャケットを重ね、マフラーをオンするスタイル。カラーはやや明るめが暗くなりすぎず好印象です。サイズ感は大きすぎても、小さすぎてもNG。スタイリッシュに見せるにはジャストサイズが条件です。また、インナーにはウールニットやマフラー、ネルシャツなどでボルドーやブラウンなど流行色を取り入れたいところ。定番なのにトレンド感のある雰囲気に仕上がり、あか抜けた冬服が完成します。

アイビーの着こなし術を学んで今どきのスタイルに

上品さとスポーティーさ、知的さと軽快さを併せ持ったアイビーファッション。うまく取り入れることができれば、周囲と差がつく大人ならではのスタイルが完成します。アメリカントラッドをコーデに投入して季節の装いをアップデート。クラシカルで新しいメンズ服、ぜひ自分らしく楽しんでみてください。